2016年3月5日土曜日

ディーゼルのNOx問題

前にも一度とりあげた「VWの不正問題は、たしかにVWは問題だけれど他のメーカーに問題がないというわけではない」件について、その後の進展があったからまとめておきます。

国交省からの発表は以下のPDFを見てください。
排出ガス路上走行試験等結果取りまとめ - 国土交通省・環境省
排出ガス路上走行試験等調査概要及び検証方法 - 国土交通省・環境省

1, VW不正が発覚(2015年9月)
テスト条件を検知して排ガス浄化装置を全力で稼働させた上でテストをパスし、実際の走行ではこの浄化装置を無効化していたというのが問題の発端でした。
ここでも9月にまとめてます
http://brwafe2.blogspot.ca/2015/09/blog-post_25.html

2, 他のメーカーも環境基準値を超えるNOx排出の疑いはかかっていた
VWはテスト条件だけを検知して、このときに普段とまったく違う動作をしていたため明確に問題になったのですが、他のメーカーも環境基準値より多くの有害物質を出している可能性はありました。もちろんデフィートツール搭載してないのですが、かといって複数の運転条件で必ずいつも環境基準値を下回れるとは限らない(→上回る可能性もある・というかまず上回っている)という状況でした。
NOxを出すのはVWのディーゼルだけか? - 自動車評論家 国沢光宏


ここですでにアルデヒド系を出す代わりにNOxは徹底したのだろうという見方が提示されています。

3, しばらく音沙汰ない状況が続く(2015年冬から2016年2月末まで)
各種の試験を実施していたものと思われます。冬はNOx処理装置が動作しづらい(損傷を防ぐために外気温が低い条件ではNOx処理装置が動作しない場合がある)ため意地悪な試験をするには好都合でしょう。

なお先のPDFでは
排出ガス路上走行試験等結果取りまとめ - 国土交通省・環境省
“また、大幅な乖離は、外気温が低い場合等に保護制御が働き、排出ガス低減装置の機能が停止したことによるものと考察される。”(2ページ目)
と結論づけています(おそらく正しい)

4, 日産と三菱、トヨタの実地走行におけるNOx排出力が環境基準値に対して多くなること(先のPDF)が発表され、話題になった
これは試験条件ではないので、問題になったというと言い過ぎですが、去年からの懸案事項がようやく決着ついた格好
ディーゼル車の国産4車種 排ガス基準の2~10倍超過 - 東京新聞
国交省と環境省、国産ディーゼルモデル6台の排出ガス路上試験結果公表 - 台上試験とは最大10倍程度の乖離 - Car Watch
ネットで見つかる記事の中で、具体的なメーカーと車種名それに観測された値を示すのはここだけでした。元のPDFには棒グラフが含まれているのに、これをあえて掲載しない理由は何かあるのでしょうか。

5, マツダは問題なかった、なぜだ?
先に述べたとおり、考察でとても興味深いなと思っていたのは
NOxを出すのはVWのディーゼルだけか? - 自動車評論家 国沢光宏
“専門家の多くは「テストモード以外でNOxを出してるんじゃないかと思われます」。” →正解

ディーゼルの排気ガス - 国沢光宏のジドウシャギョウカイ最新情報
2012年の時点で可能性に言及していました。

この酸っぱい匂いが、人体に影響ある怪しいモノなのかどうか、それは現時点で分かりません。たしかに規制物質ではないのだろうし、現に実地走行に於けるNOx排出量を見ると他社よりも優れた性能(→低い排出量)なのですが、この匂いの正体は気になります。

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